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ベトナム 就労 ビザ 費用 | UNILAWでの完全ガイド

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ベトナム就労ビザ費用 | UNILAWでの完全ガイド

2015年2月、ホーチミン市のある企業で事業開発ディレクターとして勤務していたアメリカ国籍のN氏は、月給8,800万ドン(当時約44万円相当)で3つの連続した労働契約の下で働いていました。しかし、会社から一方的に契約解除を通知された彼女は、復職と未払い賃金、さらに約8億8,000万ドンの損害賠償を求めて訴訟を起こしました。ところが、ホーチミン市高等人民法院による2023年6月7日付判決06/2023/LĐ-PT号は、N氏の訴えを全面的に棄却しました。その理由は驚くべきものでした――N氏は外国人でありながら、ベトナムで働くために必要な労働許可証を一度も取得していなかったのです。司法経歴証明書も学歴・経験を証明する書類も提出されておらず、2012年労働法第169条が定める外国人雇用の基本要件を満たしていませんでした。

この判決は、ベトナムで就労する日本人駐在員や投資家にとって、極めて重要な教訓を示しています。就労ビザと労働許可証の取得は単なる形式的手続きではなく、労働契約そのものの有効性を左右する法的要件なのです。本稿では、ベトナムにおける就労ビザ取得の費用体系を中心に、関連する法的リスクと実務上の注意点を、UNILAWの実務経験に基づいて詳しく解説します。

ベトナムにおける就労ビザの法的枠組み

ベトナムで外国人が合法的に就労するためには、複数の法令が規定する要件を満たす必要があります。2012年労働法(現在は2019年労働法に改正)第169条、第172条、第186条は、外国人労働者の雇用条件を明確に定めています。また、2014年出入国法第4条第4項は、就労目的での滞在に適切なビザカテゴリーの取得を義務付けています。さらに、2005年民法第121条から第123条、第137条は、法律違反の契約の無効性について規定しており、前述のN氏のケースでは、これらの条項が労働契約の無効を判断する根拠となりました。

実務上、就労ビザ取得プロセスは以下の主要なステップから構成されます。第一に、雇用企業による労働許可証(Work Permit)の申請、第二に、この労働許可証を根拠とした就労ビザ(通常はLDビザまたはDTビザ)の申請、第三に、入国後の一時滞在カード(Temporary Residence Card)の取得です。これらの手続きは相互に関連しており、一つでも欠けると合法的な就労状態を維持できません。

就労ビザ取得に係る費用の内訳

ベトナムにおける就労ビザ関連の費用は、大きく分けて政府手数料、書類準備費用、専門家サービス費用の三つのカテゴリーに分類されます。

労働許可証申請の費用

労働許可証の政府手数料は、労働傷病兵社会省(MOLISA)の規定により、通常100万ドンから200万ドン程度(約6,000円から12,000円相当)です。ただし、この金額はベトナム政府が直接徴収する手数料のみであり、申請に必要な各種書類の準備費用は含まれていません。

労働許可証申請には以下の書類が必須です。日本の警察当局が発行する犯罪経歴証明書(司法経歴証明書)、学位証明書または職業資格証明書の認証コピー、健康診断書、パスポートのコピー、証明写真などです。これらの書類の多くは、日本で取得し、外務省による公印確認またはアポスティーユ認証を受け、さらにベトナム語への翻訳と公証が必要となります。

書類準備に関する費用は、日本での認証費用(一般的に1書類あたり数千円)、ベトナムでの翻訳・公証費用(1ページあたり10万ドンから30万ドン程度)、健康診断費用(ベトナムの指定医療機関で通常50万ドンから100万ドン)など、合計で5万円から10万円程度を見込む必要があります。

ビザ申請の費用

労働許可証取得後、実際の就労ビザ(通常は複数年有効のLDビザ)の申請手数料は、ビザの有効期間によって異なります。1年間有効のビザで約135米ドル、2年間有効のビザで約270米ドルが標準的です。これに加えて、ビザスタンプ貼付手数料として25米ドル程度が必要です。

一時滞在カードの費用

入国後、外国人労働者は一時滞在カード(TRC)を取得する必要があります。TRCの申請手数料は、有効期間(通常は労働契約期間と一致)に応じて異なりますが、一般的に200万ドンから500万ドン程度です。

専門家サービス利用時の追加費用

多くの日系企業は、複雑な申請手続きと言語の障壁を考慮し、法律事務所や専門コンサルタントのサポートを利用します。UNILAWでは、日本企業向けに包括的な就労ビザ取得支援サービスを提供しており、その費用は通常、案件の複雑さや緊急性に応じて設定されます。

標準的なケースでは、法律事務所のサービス費用は1件あたり1,500米ドルから3,000米ドル程度が相場です。これには、必要書類のリストアップ、書類審査、政府機関への申請代行、進捗管理、問題発生時の対応などが含まれます。複雑なケース(例えば、通常の学位要件を満たさない専門職や、特別な許可が必要な業種)では、費用がさらに高くなる場合があります。

費用節約のリスク――N氏判決からの教訓

前述の判決06/2023/LĐ-PT号は、就労ビザ取得費用を節約しようとした結果がもたらす深刻な法的リスクを明確に示しています。N氏のケースでは、雇用主が適切な労働許可証取得手続きを怠ったため、3つの労働契約すべてが法的に無効とされました。2012年労働法第19条および第38条は、労働契約の有効要件を定めており、労働許可証の欠如は契約の根本的な瑕疵と見なされます。

判決では、2005年民法第121条から第123条、第137条に基づき、法律の強行規定に違反する契約は無効であると明示されました。その結果、N氏は復職請求も、未払い賃金請求も、損害賠償請求もすべて認められませんでした。雇用主側も、約8億8,000万ドンの請求リスクこそ回避できたものの、優秀な人材を失い、訴訟対応の時間とコストを負担する結果となりました。

このケースから導かれる重要な教訓は、就労ビザ取得の費用は「節約可能なコスト」ではなく、「法的リスク回避のための必須投資」であるということです。適切な手続きを経ずに外国人を雇用することは、短期的には数千ドルの費用を節約できるかもしれませんが、長期的には労働契約の無効、罰金、退去強制、企業評判の損失など、はるかに大きな損失をもたらす可能性があります。

業種別・職位別の費用の違い

ベトナムの労働許可証制度では、一部の専門職や管理職に対して異なる要件が適用されるため、費用も変動します。例えば、企業の取締役や総経理(General Director)の場合、学位要件が免除される代わりに、5年以上の管理経験を証明する必要があります。この場合、過去の雇用主からの推薦状や在職証明書の準備、認証、翻訳に追加費用が発生します。

また、IT技術者やエンジニアなどの専門職では、特定の資格証明書や専門性を裏付ける書類が必要となる場合があり、これらの準備にも追加コストがかかります。製造業の技術指導者の場合、特殊な技能を証明するための追加書類が求められることもあります。

労働許可証免除のケースと費用への影響

ベトナム労働法は、特定の条件下で労働許可証の取得を免除される外国人のカテゴリーを定めています。2012年労働法第172条は、ベトナムに90日未満滞在する技術専門家、企業の管理者、ベトナム企業の所有者、特定の国際組織の代表者などに対して労働許可証免除を認めています。これらのケースでは、労働許可証申請に関連する費用(書類準備、認証、政府手数料など)が不要となるため、総費用を大幅に削減できます。

ただし、免除対象者であっても、適切なビザカテゴリー(通常はDNビザまたはDTビザ)での入国と、免除証明書の取得は依然として必要です。免除証明書の申請には、免除条件を満たすことを証明する書類(会社定款、株主構成証明、任命書など)の提出が求められ、これらの準備と翻訳・公証には通常50万ドンから100万ドン程度の費用がかかります。

法規定と実際の司法判断の厳格な対照――N氏判決の詳細分析

N氏のケースは、労働許可証要件に関する法規定と実際の司法適用の関係を理解する上で極めて重要な事例です。2012年労働法第169条は、「ベトナムで就労する外国人は、労働傷病兵社会省またはその権限を委譲された機関が発行する労働許可証を保有しなければならない」と明確に規定しています。同条はさらに、労働許可証申請の前提として、健康証明書、犯罪経歴証明書、学位証明書または職業資格証明書の提出を義務付けています。

ホーチミン市高等人民法院による2023年6月7日付判決06/2023/LĐ-PT号において、裁判所は2012年労働法第169条の要件を厳格に解釈しました。判決では、N氏が司法経歴証明書(犯罪経歴証明書)も、学歴・経験を証明する書類も提出しておらず、したがって労働許可証を取得する法的要件を満たしていないことが認定されました。さらに重要なことに、裁判所は2012年労働法第19条および第38条に基づき、労働許可証の欠如が労働契約の有効要件の欠缺にあたると判断しました。

第19条は労働契約の必須内容を定め、第38条は労働契約の無効事由を列挙していますが、裁判所はこれらの条項と第169条を総合的に解釈し、労働許可証なしの外国人との労働契約は法律の強行規定に違反すると結論付けました。この判断の法的根拠として、裁判所はさらに2005年民法第121条(法令違反の民事取引の無効)、第122条(社会道徳に反する取引の無効)、第123条(詐欺・脅迫・強制による取引の無効)、および第137条(無効な民事取引の法的効果)を援用しました。

特に注目すべきは、裁判所が第121条に基づき、労働許可証要件の違反を「法律の禁止規定に違反する民事取引」と性格付けた点です。この法的評価により、N氏が3つの契約期間を通じて実際に労働を提供し、雇用主がその労働の成果を享受していたという事実にもかかわらず、契約は遡及的に無効とされました。第137条によれば、無効な民事取引は最初から法的効力を持たないため、N氏の復職請求、未払い賃金請求、損害賠償請求のすべてが法的根拠を失ったのです。

この判決は、理論上の法規定と実務上の司法適用の間に齟齬がないことを明確に示しています。一部の企業は、実際に外国人従業員が労働を提供し、給与を受け取っている事実関係があれば、労働許可証の不備は形式的な瑕疵にすぎず、実質的な権利義務関係は保護されると誤解していますが、本判決はこの考え方を明確に否定しました。ベトナムの裁判所は、外国人労働者の雇用に関する法規定を厳格に適用し、手続的要件の遵守を実体的権利の前提条件と位置付けているのです。

2019年労働法下での変更点と現行費用への影響

2021年1月1日から施行された2019年労働法は、外国人雇用に関する規定を一部改正しました。新法第152条から第156条は、労働許可証の要件と手続きをより明確化し、デジタル申請の導入や処理期間の短縮を図っています。これにより、申請プロセスの透明性は向上しましたが、基本的な費用構造に大きな変化はありません。

ただし、2019年労働法第153条は、労働許可証免除の対象範囲を若干拡大し、企業内転勤者(Intra-Corporate Transferees)に対する特別な規定を導入しました。これは、多国籍企業がベトナム子会社に従業員を派遣する際の手続きを簡素化するもので、該当する場合は費用削減につながる可能性があります。

費用対効果の観点からの推奨事項

UNILAWの実務経験から、就労ビザ取得の総費用は通常、3,000米ドルから5,000米ドル程度(政府手数料、書類準備費用、専門家サービス費用を含む)が標準的です。この金額は、駐在員1名あたりの年間人件費(通常数千万円規模)と比較すれば決して高額ではありません。

重要なのは、適切な専門家のサポートを受けることで、単に費用を支払うだけでなく、N氏のケースのような重大な法的リスクを回避できるという点です。労働契約が無効とされれば、企業は優秀な人材を失うだけでなく、場合によっては罰金(2019年労働法第17章に基づく行政処分)、駐在員の退去強制、さらには企業評判の損失という、金銭では計り知れない損害を被る可能性があります。

結論

ベトナムにおける就労ビザ取得費用は、単なる「コスト」ではなく、合法的なビジネス運営と従業員の権利保護のための「必須投資」です。判決06/2023/LĐ-PT号が示すように、法的要件を軽視した結果は、当事者双方に取り返しのつかない損失をもたらします。適切な手続きの遵守は、短期的な費用節約よりもはるかに重要な、長期的な事業安定性の基盤なのです。

ベトナムでの就労ビザ取得や外国人雇用に関する具体的なご相談は、日系企業のサポート実績豊富なUNILAWまでお気軽にお問い合わせください。個別の状況に応じた最適なソリューションをご提案いたします。

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