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弁護士 企業 内の役割とメリット – Unilaw

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弁護士 企業 内の役割とメリット – ベトナムにおける日系企業の法務体制構築

ベトナムで事業を展開する日系企業において、法務リスクの管理と適切なコンプライアンス体制の構築は経営上の最重要課題の一つです。特に近年、ベトナムの法制度が急速に変化し、労働法、投資法、企業法などの改正が頻繁に行われる中、企業内における弁護士の役割はますます重要性を増しています。

ベトナム法上、企業が弁護士を雇用する形態には大きく分けて二つの選択肢があります。一つは企業内弁護士(インハウスローヤー)として正式に雇用する方法、もう一つは外部の法律事務所と顧問契約を締結する方法です。それぞれの形態には法的根拠と要件が明確に定められており、企業の規模や業種、法務ニーズに応じた適切な選択が求められます。

ベトナム法における企業内弁護士の法的位置づけ

ベトナムにおける弁護士の活動は、2006年弁護士法(Law on Lawyers No. 65/2006/QH11)およびその後の改正法である2012年弁護士法(Law on Lawyers No. 65/2012/QH13)によって規律されています。これらの法律は、弁護士が企業内で勤務する場合の要件と義務を明確に規定しています。

2012年弁護士法第19条によれば、弁護士は法律事務所に所属することが原則とされていますが、一定の条件下で企業や組織の法務部門において勤務することが認められています。ただし、企業内で勤務する弁護士であっても、ベトナム弁護士会(Vietnam Bar Federation)への登録を維持し、弁護士としての職業倫理規定を遵守する義務があります。

企業内弁護士を雇用する際の重要な法的要件として、当該弁護士がベトナムにおける弁護士資格を有していること、弁護士登録証(Certificate of lawyer registration)を保持していることが挙げられます。また、外国法事務弁護士(Foreign Lawyer)がベトナムの企業内で勤務する場合には、2007年外国法事務弁護士に関する政令(Decree No. 87/2007/ND-CP)および2020年の改正政令(Decree No. 37/2020/ND-CP)に基づく特別な許可と登録手続きが必要となります。

企業内弁護士の主要な役割と業務範囲

企業内弁護士の業務範囲は、ベトナム労働法(Labor Code No. 45/2019/QH14)における一般的な労働契約の枠組みの中で、専門職としての特殊性を考慮して定められます。実務上、企業内弁護士が担う主要な役割には以下のようなものがあります。

第一に、契約書の作成・審査業務です。ベトナムでは民法(Civil Code No. 91/2015/QH13)第398条以下において契約の有効要件が詳細に規定されており、特に国際取引においては外国投資法(Law on Investment No. 61/2020/QH14)や企業法(Law on Enterprises No. 59/2020/QH14)との整合性を確保する必要があります。企業内弁護士は、これらの法令に精通し、日々の取引契約が法的に有効であることを確保する役割を担います。

第二に、労務管理とコンプライアンス支援です。2019年労働法は、労働契約、就業規則、懲戒処分、解雇手続きなど、雇用関係のあらゆる側面について詳細な規定を設けています。特に外資系企業においては、現地従業員との労働紛争が頻発するリスクがあり、企業内弁護士による予防法務の重要性が高まっています。

第三に、行政手続きと当局対応です。ベトナムでは投資登録証明書(IRC)や企業登録証明書(ERC)の取得・変更、各種ライセンスの申請など、事業運営に必要な行政手続きが多岐にわたります。企業内弁護士は、これらの手続きを適切に管理し、監督官庁との窓口としての機能も果たします。

外部法律顧問との違いと企業内弁護士のメリット

外部の法律事務所と顧問契約を結ぶ場合と比較して、企業内弁護士を雇用することには以下のような明確なメリットがあります。

即応性と可用性の観点から、企業内弁護士は日常的に社内に常駐しているため、緊急の法律問題や突発的な案件に対して即座に対応することが可能です。特に製造業や小売業など、日々の業務の中で法的判断を要する場面が多い業種においては、この即応性が大きな価値を持ちます。

コスト効率の面でも、一定規模以上の企業においては、外部弁護士への時間単位の報酬支払いと比較して、固定給与での雇用の方が長期的にはコスト削減につながる場合が多くあります。ベトナムにおける外部法律事務所の弁護士報酬は、案件の複雑さにもよりますが、一般的に1時間あたり150米ドルから300米ドル程度が相場とされています。

事業理解の深さという点では、企業内弁護士は組織の内部にいるため、事業モデル、企業文化、経営戦略を深く理解した上で法的助言を提供できます。これにより、単なる法的正確性だけでなく、ビジネス目標と整合した実務的な解決策を提案することが可能になります。

企業内弁護士の雇用における法的手続きと実務上の留意点

ベトナムにおいて企業内弁護士を正式に雇用する際には、労働法上の一般的な雇用手続きに加えて、弁護士法に基づく特有の要件を満たす必要があります。2019年労働法第14条は、労働契約の必須記載事項として、職務内容、勤務地、労働時間、賃金、契約期間などを明確に定めることを義務付けています。企業内弁護士の場合、職務内容の記載において、法律顧問業務の範囲を具体的に特定することが推奨されます。

さらに重要な点として、2012年弁護士法第22条は、弁護士が企業内で勤務する場合であっても、所属する法律事務所または弁護士会への届出義務を規定しています。この規定により、企業内弁護士は二重の所属関係を持つことになり、雇用企業との労働契約関係を維持しながら、同時に弁護士としての職業的独立性と倫理義務を保持する必要があります。この点は、日本の企業法務部における法務担当者とは異なる、ベトナム特有の法的枠組みとして理解しておくべき重要な要素です。

実務上、多くの日系企業は、企業内弁護士の雇用にあたって、ベトナム人弁護士資格を有する現地人材を採用するか、日本からの駐在員として日本法弁護士を派遣し、外国法事務弁護士としての登録を経て勤務させるかの選択を迫られます。後者の場合、2020年政令第37号第8条に基づき、外国法事務弁護士はベトナム法に関する助言を行うことが原則として禁止されているため、実質的な業務範囲が制限される点に留意が必要です。この制限を回避するため、多くの企業では日本法弁護士とベトナム法弁護士を組み合わせた法務チームを構築する戦略を採用しています。

企業内法務体制の構築における実践的アプローチ

ベトナムにおける日系企業の法務体制構築は、企業の成長段階と事業規模に応じた段階的なアプローチが効果的です。初期段階では外部法律事務所との顧問契約により基本的な法務サポートを確保し、事業が一定規模に達した時点で企業内弁護士の雇用を検討するという方法が一般的です。

企業法第158条は、企業における内部管理システムの整備を求めており、特に一定規模以上の企業に対しては、法令遵守体制の構築を実質的に義務付けています。この要請に応えるためには、単発的な法律相談ではなく、継続的かつ体系的な法務管理が不可欠であり、企業内弁護士の配置がその中核的な役割を果たします。

また、2019年労働法第119条以下は、企業における就業規則の作成義務を定めており、10名以上の労働者を雇用する企業はベトナム語による就業規則を作成し、所轄の労働局に登録しなければなりません。この就業規則は、労働条件、服務規律、懲戒処分の手続きなど、労働関係の基本的枠組みを定めるものであり、法的有効性を確保するためには専門的な法律知識が必要です。企業内弁護士は、このような日常的かつ継続的な法務業務を社内で完結させることができ、外部への依存度を下げながら迅速な対応を実現します。

コンプライアンス強化と予防法務の重要性

近年、ベトナム政府は外資系企業に対するコンプライアンス監督を強化しており、税務、労働、環境など各分野における法令遵守が厳格に求められています。2020年投資法第78条は、外国投資家および外資系企業の義務として、ベトナム法の遵守、定期的な事業報告、投資プロジェクトの適切な実施などを明確に規定しています。

この法的環境において、企業内弁護士の役割は単なる事後的な紛争対応にとどまらず、問題が発生する前に法的リスクを特定し、予防措置を講じる予防法務へとシフトしています。たとえば、契約締結前の法的リスク審査、新規事業展開時の法令適合性チェック、定期的な社内コンプライアンス研修の実施などが、企業内弁護士による予防法務の典型例です。

特に製造業や建設業など、多数の現地従業員を雇用する業種においては、労働紛争の予防が経営上の重要課題となります。2019年労働法第125条は懲戒処分の手続きを詳細に定めており、適正な手続きを経ない解雇は無効とされ、企業に復職命令や補償金支払い義務が課される可能性があります。企業内弁護士は、このような手続的要件を日常的に監視し、人事部門と連携して適法な労務管理を実現する重要な役割を担います。

長期的視点での投資価値

企業内弁護士の雇用は、短期的にはコスト増として認識されることもありますが、中長期的な視点では重大な法的紛争の回避、行政罰の予防、取引の適正化による事業効率の向上など、多面的な価値をもたらします。ベトナムにおける行政罰は、法令違反の態様によっては事業停止命令や投資ライセンスの取消しなど、企業存続に関わる重大な結果を招く可能性があり、その予防的価値は計り知れません。

また、企業内弁護士の存在は、取引先や金融機関に対して、企業のガバナンス体制が整備されているという信頼のシグナルとしても機能します。これは特に、現地での資金調達や大規模取引を検討する際に、企業の信用力を高める要素となります。

ベトナムにおける日系企業の法務体制構築は、事業の持続的成長と法的リスク管理の両立を実現するための戦略的投資です。企業内弁護士の活用と外部法律顧問との適切な役割分担により、実効性の高い法務体制を構築することが可能です。具体的な法務体制の設計や企業内弁護士の採用支援については、ベトナム法務に精通した専門家へのご相談をお勧めいたします。Unilawでは、日系企業の皆様の法務体制構築を総合的にサポートしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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