会社法無料相談 – ベトナム不動産情報会社の設立支援事例
2010年、ベトナムにおいて不動産情報分野で事業を展開するため株式会社の設立を準備していた発起人グループが、出資財産の評価という法的課題に直面しました。具体的には、発起人の一人であるグエン・クアン・ヒエウ氏が、不動産取引情報サイト管理ソフトウェアという無形資産を現物出資する計画でしたが、このソフトウェアの適正な評価額を確定し、全発起人間で合意を形成する必要がありました。ベトナム企業法(2005年法、当時有効)では、株式会社設立時における現物出資財産の評価について、発起人間の合意に基づく評価を認めていますが、その透明性と公平性を確保するための手続が求められます。
Unilawは、この不動産情報株式会社(以下「A社」)の発起人から依頼を受け、会社法に関する無料相談から始まり、出資財産評価に関する包括的な法的支援を提供しました。まず、ベトナム企業法2005における現物出資の法的要件について詳細な説明を行いました。同法では、株式会社の設立にあたり、発起人は金銭または法律で認められた財産を出資できると規定されており、現物出資の場合、その財産の価値は発起人間の合意により決定されることが原則です。ただし、その評価は時価に基づき、かつ発起人全員の同意が必要となります。
本件において特に重要だったのは、無形資産であるソフトウェアの評価という専門的課題でした。Unilawは、発起人グループ(ルウ・ティ・フエ氏、グエン・クアン・ヒエウ氏、ティエウ・ズイ・ティエン氏)に対し、評価の法的根拠、評価プロセスの透明性確保、および発起人間の権利義務の明確化について助言しました。そして、「出資財産評価議事録」の作成を支援し、2010年3月4日付で同議事録が正式に締結されました。この議事録では、「不動産取引情報サイト管理ソフトウェア」の評価額を2010年の時価に基づき20,000,000ベトナムドンと確定し、全発起人がこれに合意したことが記録されています。
この出資財産評価議事録は、A社の設立登記書類の重要な構成要素となりました。ベトナムにおける株式会社設立手続では、企業登録機関(各省・市の計画投資局)に対し、定款、発起人決議、出資財産リストなどとともに、現物出資がある場合はその評価を証明する書類の提出が求められます。Unilawが作成支援した評価議事録は、この法的要件を満たし、A社の円滑な設立登記に貢献しました。
さらに、Unilawは会社設立に関連して、株式会社定款の起草支援も行いました。ベトナム企業法2005では、定款は会社の組織構造、経営管理体制、株主の権利義務、利益配分方法などを規定する最重要文書であり、法定記載事項をすべて含む必要があります。不動産情報という特定業種における事業運営を想定し、業界特有のガバナンス上の留意点も反映させた定款を作成しました。
加えて、A社が事業開始後に従業員を雇用する際の法的基盤整備として、労働契約書の雛形作成も支援しました。ベトナム労働法では、労働者を雇用する前に書面による労働契約の締結が原則として義務付けられています(労働期間1か月未満の場合を除く)。労働契約には、職務内容、労働時間、休憩時間、賃金、労働安全衛生、社会保険・医療保険・失業保険に関する事項などを明記する必要があります。Unilawは、これらの法定要件を満たしつつ、不動産情報業という業種の特性に適合した労働契約の標準書式をA社向けに整備しました。
本事例が示すように、ベトナムにおける株式会社設立は、単なる形式的な登記手続ではなく、企業法、労働法、投資法など複数の法令が交錯する複合的な法的プロセスです。特に現物出資を伴う設立の場合、出資財産の適正評価と発起人間合意の法的有効性確保が重要となります。また、設立と同時に事業運営の法的インフラ(定款、労働契約等)を適切に整備することで、設立後の法的リスクを最小化し、円滑な事業展開が可能となります。
Unilawでは、ベトナムで事業展開を計画される日系企業や投資家の皆様に対し、会社法に関する無料相談を随時受け付けております。会社設立の基本的な法的要件から、定款や内部規程の作成、現物出資や外資規制への対応まで、ベトナム企業法および関連法令に精通した弁護士が、実務経験に基づく具体的なアドバイスを提供いたします。
株式会社設立における出資形態は、金銭出資のみの場合と現物出資を含む場合で、必要となる法的手続と書類が異なります。現物出資の場合、出資財産の種類(不動産、知的財産権、機械設備等)に応じて評価方法や必要な証明書類も変わってきます。ベトナム企業法2020(現行法)では、出資財産の評価についてより詳細な規定が設けられ、一定の場合には独立した評価機関による評価が求められることもあります。このような法改正の動向も踏まえた最新の助言が、会社設立の成否を左右します。
株式会社設立における現物出資の評価と法的実務
A社の事例において特に注目すべき点は、ソフトウェアという無形資産の現物出資評価プロセスです。ベトナム企業法2005では、株式会社設立時の現物出資財産について、発起人間の合意による評価を基本としていましたが、その評価は「時価」に基づくことが要求されていました。本件では、「不動産取引情報サイト管理ソフトウェア」という特定の知的財産について、2010年の時価として20,000,000ベトナムドンという評価額が確定されました。
この評価額決定において、Unilawは単なる金額の算定だけでなく、評価プロセス全体の法的適合性確保を支援しました。具体的には、評価議事録において、評価対象資産の正確な特定、評価基準日の明示、全発起人の同意確認という三つの要素を確実に文書化しました。これは、将来的な紛争予防の観点から極めて重要です。ベトナムでは、設立後に発起人間で出資財産の過大評価をめぐる紛争が生じるケースが散見されるため、設立時点での評価根拠の明確化と合意形成の証拠化が不可欠となります。
現行のベトナム企業法2020では、現物出資に関する規制がさらに詳細化されています。特に、一定規模以上の現物出資や特定種類の資産については、独立した評価機関による評価が義務付けられる場合があります。ただし、株式会社設立時の発起人による現物出資については、依然として発起人間の合意による評価が認められており、この点では2005年法の基本原則が維持されています。重要なのは、合意による評価であっても、その評価が合理的根拠に基づき、かつ全発起人が真摯に同意していることを証明できる記録を残すことです。
会社定款と労働契約の一体的整備の重要性
A社の事例では、Unilawは出資財産評価だけでなく、会社定款の起草および労働契約書雛形の作成も同時に支援しました。この一体的アプローチは、ベトナムにおける会社設立実務において極めて有効です。定款は会社の「憲法」として、株主間の権利義務関係、経営機関の権限配分、利益配分方法などを規定します。一方、労働契約は、会社と従業員との間の基本的な法律関係を定めるものです。
ベトナム労働法(現行法はBộ luật Lao động 125/VBHN-VPQH)第13条では、労働契約を「労働者と使用者との間における、賃金を伴う労働、労働条件、および各当事者の権利義務に関する合意」と定義しています。同第14条第1項は、原則として労働契約は書面によることを要求しており、契約期間が1か月未満の場合を除き、書面契約の締結が義務付けられています。したがって、会社設立と同時に、将来の従業員雇用を見据えた標準労働契約書を整備しておくことは、法令遵守の観点から必須といえます。
労働契約の法定記載事項は、同法第16条において詳細に規定されています。使用者は、労働者に対し、職務内容、就業場所、労働条件、労働時間、休憩時間、労働安全衛生、賃金、賃金支払形態、社会保険・医療保険・失業保険などに関する真実の情報を提供する義務があります。A社のケースでは、不動産情報業という業種特性を踏まえ、これらの法定要件を満たしつつ、業務の特性に適合した労働契約書式を整備しました。例えば、不動産情報サービス業では、顧客データの機密保持、情報の正確性確保、営業時間外の問い合わせ対応など、業種固有の労働条件が存在するため、これらを契約条項に適切に反映させる必要があります。
企業登録実務における書類要件と手続の実際
A社の設立登記においては、出資財産評価議事録が重要な構成書類となりました。ベトナムにおける企業登録手続は、現在、Nghị định 01/2021/NĐ-CP(企業登録に関する政令)により規律されています。同政令第1条第1項は、企業登録に関する書類、手続の詳細を定めることを目的としており、第9条第1項では、企業登録手続において提出すべき書類は1セットのみとすることを明確にしています。これは、申請者の負担軽減を目的とした規定です。
同政令第10条は、企業登録書類における使用言語について規定しています。第1項では、すべての書類・文書はベトナム語で作成されなければならないとし、第2項では、外国語の書類がある場合には、公証されたベトナム語翻訳を添付することを要求しています。A社の事例における出資財産評価議事録も、この原則に従い、ベトナム語で作成されました。
現物出資を伴う株式会社設立の場合、企業登録機関(各省・市の計画投資局)に提出する書類には、定款、発起人決議、発起人名簿、現物出資財産の評価を証明する書類などが含まれます。Unilawが作成支援した評価議事録は、まさにこの「現物出資財産の評価を証明する書類」に該当します。同議事録には、評価対象資産の詳細な記述、評価方法、評価額、および全発起人の署名が含まれており、企業登録機関が求める法的要件を完全に満たすものでした。
法改正の影響と継続的コンプライアンスの必要性
A社が設立された2010年当時と現在では、適用される法令が大きく変化しています。企業法は2005年法から2020年法へと全面改正され、労働法も2012年法から2019年法へと更新されました。現物出資の評価についても、新企業法では、評価の透明性と公正性をより重視した規定が設けられています。
このような法改正の動向を踏まえると、企業は設立時だけでなく、設立後も継続的に法令遵守体制を見直す必要があります。特に、定款の記載事項については、企業法改正により新たな法定記載事項が追加されることがあるため、定期的な定款改定が必要となります。また、労働契約についても、労働法改正により新たな権利義務が追加されることがあるため、既存の労働契約書雛形の見直しと、場合によっては既存従業員との契約内容の調整が必要となります。
Unilawでは、このような法改正動向を常に監視し、既存顧客に対しても必要な情報提供とアドバイスを継続的に行っています。ベトナムにおける事業運営では、設立時の適切な法的基盤整備と、設立後の継続的なコンプライアンス体制の維持が、両輪として不可欠です。会社法に関する無料相談では、これらの継続的な法的サポートの必要性についてもご説明し、貴社の長期的な事業展開を法的側面から支援いたします。ベトナムでの会社設立や法務体制整備についてご検討の際は、どうぞお気軽にUnilawまでお問い合わせください。