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ベトナム就労ビザを取得する方法と必要書類【2024年最新】

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ベトナム就労ビザを取得する方法と必要書類【2024年最新】

2023年6月、ホーチミン市高等人民裁判所は、ある重要な判決(判決番号06/2023/LĐ-PT)を下しました。この事案では、米国籍のN氏が、ベトナムの企業において事業開発マネージャーとして月給8,800万ドン(約3,800米ドル相当)で働いていましたが、2014年3月から2015年3月まで3回連続して労働契約を締結したにもかかわらず、一度も労働許可証を取得していませんでした。企業が2015年2月12日に契約終了を通知した後、N氏は復職と未払賃金の支払い、さらに約8億8千万ドン(約88億ドン)の損害賠償を求めて訴訟を起こしました。

しかし、裁判所はN氏の訴えを退けました。その理由は、N氏が労働許可証を取得するために必要な司法記録証明書や学歴・職歴を証明する書類を一切提出していなかったためです。この判決は、ベトナムで就労する外国人にとって、労働許可証の取得が単なる形式的な手続きではなく、労働契約の有効性そのものに直接影響を及ぼす重要な法的要件であることを明確に示しています。

ベトナムにおける労働許可証の法的根拠

ベトナムで外国人が合法的に就労するためには、2012年労働法(現在は2019年労働法に改正)第169条に基づき、労働許可証の取得が義務付けられています。前述のN氏の事案で裁判所が適用した法的根拠は以下の通りです:

  • 2012年労働法第19条、第38条、第169条、第172条、第186条(特に第169条は外国人がベトナムで就労するための労働許可証取得要件を規定)
  • 2005年民法第121条~123条、第137条
  • 2008年国籍法第5条、第19条
  • 2014年出入国管理法第4条第4項

これらの法律は、外国人労働者の就労条件、契約の有効性、そして労働許可証なしで働いた場合の法的帰結を明確に定めています。特に重要なのは、労働許可証の欠如が労働契約自体の無効事由となり得るという点です。N氏の事案では、この法的原則が厳格に適用され、たとえ実際に労働を提供し高額の給与を受け取っていたとしても、労働許可証がなければ労働法上の保護を受けられないという結論に至りました。

就労ビザと労働許可証の違い

多くの日本企業やベトナムに赴任する日本人が混同しやすいのが、「就労ビザ(労働ビザ)」と「労働許可証」の違いです。これらは別個の法的要件であり、それぞれ異なる目的と手続きを持っています。

就労ビザは、ベトナムへの入国と滞在を許可するもので、2014年出入国管理法に基づいて公安省出入国管理局が発給します。一方、労働許可証は、ベトナム国内で実際に労働活動を行うことを許可するもので、労働・傷病兵・社会問題省(現在は労働・傷病兵・社会事務省)が管轄しています。

実務上、多くの場合、労働許可証の取得が先に行われ、その後にこれを根拠として就労ビザが発給されるという流れになります。N氏の事案が示すように、就労ビザだけを持っていても労働許可証がなければ、労働契約は法的に不安定な状態となり、労働者としての権利保護を受けることができません。

労働許可証取得のための必要書類

N氏の事案で欠けていた重要な書類は、まさに労働許可証申請に必要な基本書類でした。2024年現在の規定に基づき、ベトナムで労働許可証を取得するためには、以下の書類が必要です:

  • 労働許可証申請書(所定のフォーム)
  • パスポートのコピー(有効期限が6ヶ月以上残っているもの)
  • 証明写真(4cm×6cm、背景白、最近6ヶ月以内に撮影)
  • 健康診断書(ベトナムの指定医療機関または母国の医療機関で発行、6ヶ月以内のもの)
  • 司法記録証明書(無犯罪証明書)— N氏の事案で欠けていた重要書類
  • 学歴証明書または職歴証明書 — N氏の事案で欠けていたもう一つの重要書類
  • 労働契約書または任命決定書のコピー
  • ベトナム企業の事業登録証明書のコピー

N氏の事案で裁判所が特に問題視したのは、司法記録証明書(無犯罪証明書)と学歴・職歴を証明する書類の欠如でした。これらの書類は、申請者が専門的な知識や技能を持ち、ベトナムの労働市場に適切に貢献できる人材であることを証明するために不可欠です。

司法記録証明書は、申請者の母国または過去5年間に1年以上居住した国の権限のある機関が発行したものでなければなりません。この書類は発行日から6ヶ月以内のものである必要があり、ベトナム語への翻訳と領事認証(またはアポスティーユ認証)が求められます。

労働許可証が免除される場合

すべての外国人がベトナムで働く際に労働許可証を必要とするわけではありません。2019年労働法第154条および関連する政令に基づき、以下の場合には労働許可証が免除されます:

  • 企業の取締役会メンバー、有限責任会社の社員総会メンバー(ただし一定の条件を満たす場合)
  • ベトナムに3ヶ月未満滞在する専門家、技術者、経営者
  • 教育機関で教える外国人教師(教育訓練省から許可を得ている場合)
  • 弁護士業務を行う外国人弁護士(司法省から許可を得ている場合)
  • ベトナムと国際条約を締結している国の組織・企業のサービス提供者
  • ボランティア活動を行う外国人

ただし、N氏の事案では、氏は「事業開発マネージャー」という職位で3ヶ月を超える期間(2014年3月から2015年3月まで約12ヶ月)働いており、上記のいずれの免除カテゴリーにも該当しませんでした。したがって、労働許可証の取得は法的義務であり、その欠如は重大な法的リスクをもたらしました。

労働許可証取得の手続きと所要期間

労働許可証の申請から取得までの標準的な手続きは以下の通りです:

まず、雇用主(ベトナム企業)が、外国人労働者を雇用する必要性を説明する報告書を作成し、省レベルの労働・傷病兵・社会事務局に提出します。この報告書には、なぜベトナム人ではなく外国人を雇用する必要があるのか、その職位に求められる専門性や技能が明確に記載されている必要があります。

次に、前述の必要書類一式を揃え、労働・傷病兵・社会事務局に申請します。書類に不備がなければ、当局は申請受理後15営業日以内に労働許可証を発給します。ただし、実務上は書類の準備や認証手続きに時間がかかるため、全体で1~2ヶ月程度を見込んでおく必要があります。

労働許可証の有効期間は、原則として労働契約の期間と同じですが、最長2年間です。期間満了前に延長申請を行うことができ、延長手続きは初回申請よりも簡便です。

労働許可証欠如の法的帰結:契約無効と損害賠償請求の否認

N氏の事案において最も重要な法的争点は、労働許可証を取得しないまま労働契約を締結・履行した場合の法的効力でした。ホーチミン市高等人民裁判所は、判決番号06/2023/LĐ-PTにおいて、2012年労働法第169条を厳格に適用し、外国人労働者が労働許可証なしで就労した場合、その労働契約自体が無効となり得るという法的立場を明確にしました。

同法第169条は、「ベトナムで就労する外国人労働者は、ベトナムの法律に基づいて労働許可証を取得しなければならない」と規定しています。さらに、同法第19条は労働契約の無効事由を定めており、法令に違反する内容の契約は無効とされます。裁判所は、N氏が約12ヶ月間にわたり3回の労働契約を締結したにもかかわらず、一度も労働許可証の取得手続きを行わなかったという事実を重視しました。特に、司法記録証明書や学歴・職歴証明書といった基本的な申請書類すら準備していなかったことが、氏の訴えを退ける決定的な理由となりました。

この判決の実務的な意味は極めて重大です。N氏は月給8,800万ドン(当時約3,800米ドル相当)という高額報酬で実際に労働を提供していましたが、労働許可証の欠如により、復職請求、未払賃金請求、そして約8億8千万ドンに及ぶ損害賠償請求のすべてが認められませんでした。つまり、労働法第186条が規定する労働契約解除時の労働者保護(違法解除の場合の復職権や補償金)も、労働許可証なしでは適用されないという厳格な解釈が示されたのです。

雇用主側の責任と労働許可証取得義務

N氏の事案では、労働者本人だけでなく、雇用主であるベトナム企業側の責任も問題となります。2012年労働法第172条は、「外国人労働者を雇用する雇用主は、その外国人労働者が労働許可証を取得することを保証する責任を負う」と明確に規定しています。実務上、労働許可証の申請手続きは雇用主が主導して行うのが一般的です。

しかし、判決では雇用主の法的責任については直接言及されていません。これは、N氏自身が必要書類(特に司法記録証明書と学歴・職歴証明書)を提出しなかったという事実が重視されたためと考えられます。労働許可証の取得には、労働者本人しか入手できない母国発行の書類が不可欠であり、雇用主がどれほど手続きを支援しようとしても、労働者の協力なしには実現できません。

ただし、企業側にも重大なリスクがあります。労働許可証なしで外国人を雇用した場合、2012年労働法第172条および関連する行政処分規定に基づき、企業は5,000万ドンから7,500万ドンの罰金を科される可能性があります。さらに、違法就労の発覚により事業活動が停止されるリスクもあります。したがって、企業は外国人従業員の採用時に、労働許可証取得の重要性を明確に説明し、必要書類の準備を徹底的にサポートする必要があります。

実務上の教訓:予防的対策の重要性

N氏の事案から得られる最も重要な教訓は、労働許可証の取得を「後回しにできる手続き」と考えてはならないということです。多くの場合、外国人労働者は就労ビザを取得してベトナムに入国し、「労働許可証は後で取得すればよい」と考えがちです。しかし、この判決が示すように、労働許可証の欠如は契約の有効性そのものを脅かし、労働者としてのあらゆる権利保護を失うリスクをもたらします。

日本企業がベトナムに駐在員を派遣する際、または現地で外国人専門家を雇用する際には、以下の予防的対策が不可欠です:

  • 労働契約締結前に、労働許可証取得のための必要書類をすべて準備すること
  • 特に司法記録証明書(無犯罪証明書)は、日本の警察署または法務局で取得し、外務省の認証とベトナム大使館の領事認証を受ける必要があるため、少なくとも1~2ヶ月の準備期間を見込むこと
  • 学歴証明書(卒業証明書)や職歴証明書も、同様に認証手続きが必要であることを認識すること
  • 健康診断書は、ベトナム入国後に指定医療機関で取得することも可能だが、日本で事前に取得しておく方が効率的な場合もあること
  • 労働許可証の申請から取得までには最低15営業日、実務上は1~2ヶ月かかるため、余裕を持ったスケジュールを組むこと

2019年労働法による改正点と現在の実務

N氏の事案が適用したのは2012年労働法でしたが、2021年1月1日からは2019年労働法が施行されています。労働許可証に関する基本的な要件は維持されていますが、いくつかの重要な変更点があります。

2019年労働法第152条から第154条は外国人労働者の就労条件を規定しており、労働許可証の取得義務は引き続き中核的な要件とされています。ただし、免除対象者のカテゴリーが一部拡大され、手続きの簡素化も図られています。特に、企業内転勤者(ICT: Intra-Corporate Transferee)に対する特例措置が導入され、一定の条件を満たせば労働許可証の代わりに「労働許可証免除証明書」の取得で済む場合があります。

しかし、基本原則は変わっていません。外国人がベトナムで合法的に就労するためには、適切な法的手続きを経る必要があり、その中心となるのが労働許可証の取得です。N氏の事案が示した厳格な法的帰結は、現在の法制下でも同様に適用されると考えるべきです。

まとめ

ベトナムで就労する外国人にとって、労働許可証の取得は単なる行政手続きではなく、労働契約の有効性と労働者としての権利保護を確保するための不可欠な法的要件です。ホーチミン市高等人民裁判所の判決番号06/2023/LĐ-PTは、この原則を明確に示しています。必要書類の準備、特に司法記録証明書と学歴・職歴証明書の取得には十分な時間と注意が必要です。

ベトナムでの事業展開や駐在員派遣をご検討中の日本企業の皆様、または個人でベトナムでの就労をお考えの方は、労働許可証取得の手続きについて専門家のサポートを受けることをお勧めします。Unilawでは、ベトナム労働法に精通した弁護士が、労働許可証取得の実務から労働契約の適法性確保まで、包括的な法的サービスを提供しています。ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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