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法律情報 · 11.04.2025

ベトナム特許事務所の選び方|権利移転が無効になった最高裁判例に学ぶ

ベトナム特許事務所に出願を任せる際、日系企業が最も損をするのは「出願できたかどうか」ではなく、権利の帰属が後から覆る場面です。ベトナム最高人民裁判所は2024年、知的財産庁に登録済みの商標譲渡契約を無効とし、その登録証まで取り消した第一審判決を維持しました。本稿はその判例を先に示し、次に法的根拠、最後に事務所選定と社内手続の要点を整理します。 1. 判例:知的財産庁に登録された譲渡契約が無効とされた事案 破棄審決定第07/2024/KDTM-GĐT号(2024年6月11日・最高人民裁判所)、事件名「商標に関する知的財産権をめぐる紛争」。 事案:ある会社が…

作者:admin_jp阅读时间: 5 min
ベトナム 特許 事務 所_森深く響く雷鳴

ベトナム特許事務所に出願を任せる際、日系企業が最も損をするのは「出願できたかどうか」ではなく、権利の帰属が後から覆る場面です。ベトナム最高人民裁判所は2024年、知的財産庁に登録済みの商標譲渡契約を無効とし、その登録証まで取り消した第一審判決を維持しました。本稿はその判例を先に示し、次に法的根拠、最後に事務所選定と社内手続の要点を整理します。

1. 判例:知的財産庁に登録された譲渡契約が無効とされた事案

破棄審決定第07/2024/KDTM-GĐT号(2024年6月11日・最高人民裁判所)、事件名「商標に関する知的財産権をめぐる紛争」。

  • 事案:ある会社が2011年に登録した商標を、2013年に関連会社へ譲渡する契約が締結され、知的財産庁は2013年12月30日付で譲渡契約登録証を発行しました。6年後の2019年、譲渡側が契約の無効を求めて提訴。
  • 裁判所の判断:①取締役会の議事録が決議したのは使用許諾(ライセンス)であって譲渡ではなく、署名を委ねた相手も別人だった。②署名した者は、当時有効だった2011年定款上の法定代表者ではなかった(控訴審は失効済みの2010年定款を根拠にした点で誤り)。③双方の会社に株式を持つ者が関与する関連取引であり、取締役会の承認を欠いていた。
  • 結論:譲渡契約は無効。知的財産庁の譲渡契約登録証も取り消され、最高人民裁判所は控訴審判決を破棄し、第一審判決を維持しました。あわせて、契約無効の宣言を求める請求に出訴期限の制限は及ばないと判示しています。

実務上の含意は重いものです。知的財産庁に登録されたという事実は、社内手続の瑕疵を治癒しません。そして無効の主張には期間制限がないため、6年後でも覆り得ます。出願代理の品質だけを見て事務所を選ぶと、この種のリスクは誰も見ていないことになります。

2. 法的根拠

根拠は知的財産法(統合文書第11/VBHN-VPQH号、2022年7月8日)です。

条文 内容
第138条 工業所有権の譲渡は、書面による契約の形式で行わなければならない
第139条 譲渡は保護範囲内に限られる。地理的表示は譲渡できない。商号は事業全体とともにでなければ譲渡できない
第148条第1項 登録により権利が確定する工業所有権について、譲渡契約は工業所有権の国家管理機関に登録して初めて効力を生じる
第148条第2項・第3項 使用許諾契約は当事者の合意により効力を生じる。商標の使用許諾契約を除き、一定の使用許諾契約は登録を要する

第148条第1項があるため、譲渡は「登録して初めて有効」です。しかし判例が示すとおり、登録は会社法上の授権の欠陥までは救わないのです。

3. ベトナム特許事務所を選ぶときの確認事項

  1. 出願だけでなく、権利移転の書面まで見られるか——取締役会決議、定款上の法定代表者、関連取引の承認まで確認できる体制か。
  2. 決議と契約の一致を確認する運用があるか——判例の核心は「決議はライセンス、契約は譲渡」という不一致でした。
  3. 定款の版管理——署名時点で有効な定款はどれか。失効した定款を根拠にすると、この判例と同じ誤りを犯します。
  4. 権利範囲の設計——第139条により譲渡できない対象があります。ブランド全体の移転計画は事前に線を引く必要があります。
  5. 紛争経験——出願専門か、侵害訴訟や無効審判まで対応できるか。

4. グループ内でブランドを移すときの手順

  • 取締役会(または社員総会)の決議で、「譲渡」なのか「使用許諾」なのかを明記し、署名権限者を特定する。
  • 署名時点で有効な定款を確認し、法定代表者本人が署名する。委任する場合は委任状を作成する。
  • 双方に共通の株主・役員がいる場合は、関連取引としての承認を取る。
  • 書面契約を締結し、知的財産庁に登録する(第138条・第148条第1項)。
  • 登録証と社内決議・契約の内容が一致していることを確認して保管する。

5. Unilawの知的財産サポート

Unilawは、商標・特許の出願と権利維持に加え、グループ内での権利移転、ライセンス契約、侵害対応までを扱います。ベトナム特許事務所をお探しの際は、出願計画とあわせて権利をどの法人に置くかをご相談ください。後年の無効主張を防ぐのは、出願の巧拙ではなく設計です。

本稿は2026年9月時点の法令に基づく一般的な解説であり、個別案件についての法的助言ではありません。引用:知的財産法(統合文書第11/VBHN-VPQH号)、破棄審決定第07/2024/KDTM-GĐT号(2024年6月11日・最高人民裁判所)。

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